ベランダの魔術師。

早くしな早くしな
私の目覚めはこの言葉から始まる

この言葉は私に放っている訳ではない。
嫁が仕度の遅い娘に朝から大声で喋っているのである

毎朝、エブリデイ。そのやり取りで目を覚ます
爽快な目覚めである。

たまに私にも怒りの矛先が向くが気にしない。
これを真に受け相手をしていたら長生きは出来ないと私は本能で知っているからだ。

そんな変わらぬ朝、娘と、またやられてんですか?はいまたですよとアイコンタクトを交わしカーテンを開けるとベランダに鉢が3つ並んでいた。

まさか。。。

恐る恐る聞いて見る
あのーこれはいったいー

『野菜作るの』

マジかよ
おじぎ草ですら何日かで存在を忘れ、私が気がついて発見した頃には草は何処にも無く、土のみ!そして草が無い鉢は今も尚ベランダに放置。そんな人間がおじぎ草に謝罪の言葉も無く、またベランダで植物虐待を始めようとしているのか?

大体ベランダに置けば何でも良いと思っているだろ?ほれ冷凍の蟹貰った時も真夏にベランダで解凍してよ、そもそも真夏にベランダで解凍するか普通?んでやっぱり忘れて数時間後見たら蟹からウジ沸いてもののけ姫の祟り神みたいになってたじゃねーか!

『何ベランダ見てブツブツ言ってんの早くしな』
嫁が私にまで早くしなといい放つ

『黙れ小僧!』

とは言わず、ベランダの鉢に手を合わせ職場に向かった。

お世話になっております。今月の小林でした。